カテゴリー「日本美術 L'art japonais」の34件の記事

2011年1月19日 (水)

『琳派芸術』-光悦・宗達から江戸琳派 出光美術館

P1rinpa_geijyutu 今年は、酒井抱一生誕250年だそうです。そういえば本屋で、別冊太陽の彼の特集を見た時、思わず買おうと手に取ったのだけれど、パラパラっとめくるとよく目にしている絵ばかりだったので、迷いながら本を置いたことを思い出した。

この冬は、スリランカを旅行した。以前から見たいと思っていた洞窟寺院。すばらしかったが、その余韻に浸れないまま、またすぐフランス語の授業が始まってしまった。はやりある程度の緊張を強いられ、時間が取られる。

でも、フランス語ばかりに追われていてはいけないと思い、先週久しぶりに出光美術館へ行ってみた。はやり、琳派の絵はいいですね。デザインの良い作品は、何も考えずに楽しめる。

実は今、哲学の本(といっても入門書ばかり)を続けざまに読んでいるのだけれど、西洋哲学者達が、《美》にまで定義しようと努力しているのを知り、驚いた。まあ、言葉でいろいろ定義したがるのが哲学という学問らしいから仕方ないのだけれど、芸術の項目に関しては興ざめだった。

まあそれは置いておいて、今回の展示では、改めて宗達のセンスの良さと、光琳の屏風の画面構成の格好良さにほんとに感服した。

特に下の段にある単独のガラスケースに収まっていた俵谷宗達《扇面散貼付屏風》は、金銀泥地描かれた模様自体もセンスが良い上に、さらに、張られた金地の扇子の置き方も、これまた素晴らしく、ほれぼれと見てしまった。銀色がこんなに黒くなかったら、どんなに美しかっただろうと想像しながらも、これを見られただけでも、来た甲斐があったなと思ってしまった。

Senmenh2jpgSenmenh1

Senmenmigi

(上が左隻(繋がっていなくてすみません。)、下が右隻)

そして、私の好きなのは、宗達の下絵の上に光悦が書を書いているもの。今回展示されていたのは、《蓮下絵百人一首和歌巻断簡》というものだったが、図録を買わなかったので、例としてそれに似た《四季草花下絵古今集和歌巻》(畠山記念館所蔵)をアップしてみる。

Sitae_kokinwaka

いやー、素敵でしょう?草花の種類は、どんどん変化していきます。金銀泥の濃淡の変化の美しさ、上下のバランス、そして、その間を縫ってえがかれている文字の間隔、濃さ、形。そして、残る空間の美しさ。繊細なのか大胆なのか、さっぱりわからない。ただただ、宗達と光悦の才能に敬服。

次の部屋は、2章 金屏風の競演と題して、伝宗達や「伊年」印の金地に花が乱れ咲く華やかな屏風ばかり。次のは、伝宗達の「月に秋草図屏風」

Tikini_akikusa

「伊年」印 四季草花図屏風

Kusabana

3章は、光琳の絵画ばかり。これは、「太公望図屏風」。すべての線が太公望のおなかに集まっていて、いえ、逆にそこから広がっているように、画面構成が出来ている。全く人工的なのに不思議に意図的な構成を感じさせない、落ち着いた幻想的な世界が出来上がっている。人物の背景だけを見ると、全くの現代抽象絵画。面白い。

Taikoubou

次の《白楽天図屏風》は、以前(2004年)日本橋三越で開催された《日本の美 琳派展》で一番衝撃を受けた絵。なんという大胆な構図だろう。右は、唐から海を渡って日本を偵察に来た白楽天。左は、漁師のようにみえるけれど、実は、住吉明神の化身の浦の老人。詩歌について問答を交わしている場面だとか。

(丁度、学士会会報の中で、梅原猛氏が、この「白楽天」について述べている個所を、主人が見つけてくれた。二人の問答は、唐の詩と日本の和歌の優劣が比較されているそうで、唐の詩は、人間のみが作るものであるのに対し、和歌は、人間ばかりかウグイスやカエルも詠むもの(中世の古今和歌集の解釈で、盛んにこう語られていたという)であり、雨の音も風邪の音もまた和歌であり、当然、和歌の方が詩よりも上であるということになるという。)

Haku_l_rakuten Haku_r_rakuten

うまく2つの画像をくっつけられなくて残念。右の白楽天は、荒い波の中にいるにも関わらず、超然としていて、その威厳を保っている。波の描き方が本当に面白い。いくら西洋の抽象画家でも、このように美しく波を抽象化できる人は、そんなにいないだろう。右側の荒々しい波と、左側に広がっている緑色の静かな平面のバランスも面白い。光琳については、根津美術館の国宝《燕子花図》よりも、こちらの方が好きかな。

後期の展示(2月11日~3月21日)も必ず見に行こう!

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2010年9月21日 (火)

小泉淳作展 日本橋高島屋

Koizumijunsaku1 そうそう!今日本橋高島屋で開催されている《小泉淳作展》(9月8日~27日)を見ていたのを思い出しました。行ったのは、開催2日目。

奈良東大寺の本坊の襖絵の完成記念発表であると同時に、彼の60年にわたる画業を見せてくれる展覧会。

東大寺1260年の歴史の中で、襖絵の作成は初めてなのだそうです。へ~っ。そういえば、奈良は仏像ですものね。3部屋は、それぞれ特徴のある美しい空間になっていました。1つ目は、生き生きとした蓮の花(右のパンフレット上部の花)で全面覆われている大広間。写真で実際の建物を見ると、その部屋の前には大きな蓮池が広がっていました。つまり、庭と部屋が繋がっているのです。確か、京都。銀閣寺の奥の部屋も、滝が庭のせせらぎにつながっているように襖絵が描かれているのを思い出しました。部屋と自然の一体感!いいですねえ、私たちを落ち着かせてくれます。

Koizumi2 2つ目は、桜で囲まれている部屋。どうして日本人は、桜を見るとうれしくなるのでしょう。放映されていたビデオによりますと、小泉氏は今まで桜を描いたことがなかったのだそうです。彼曰く”桜は儲かるんですよ”。彼にとっては、”だから描かなかった”と言いたかったのかもしれません。

3つ目は上段の間、なんと聖武天皇と光明皇后の肖像画の他、鳳凰や飛天など法華堂持国天立像の背中に彩られているモチーフも描かれています。当時の資料を調べたり専門家に伺ったりして、当時の布や柄を再現したのだそうです。

彼は現在、なんと86歳!この作品完成に5年の歳月を費やしました。でも、元気ばりばりです。眼光鋭く、意志がかなり強そうな方。政治家を父に持ち、慶応の幼稚舎に入学、そのまま今のフランス文学を選んだにもかかわらず、挫折(4つ年配の安岡章太郎氏の同人誌を読み、仏文にいるのが嫌になったとか)し、東京芸術大学日本画科へ入学したのが1943年。戦争が引き金となって結核になり、療養を終え、学業を終えたのが、9年後。

Koizumi3 この小泉淳作氏、名前が世にでるようになったのは、50歳を過ぎてからなのだそうです。それまでの絵は、小さな緻密な絵だったり、大きめの絵も私にはあまり魅力的には思えなかった・・・すみません。しかし、彼の右のような細密な絵(蕪の絵の方が良かったけれど、絵ハガキにはなかた)をみていると、集中力が並大抵ではないことはよくわかります。

確かに彼は、”20年以上も公募展に出品していても認められず、会員にもなれなかった”と対談集で告白しています。また、”団体にも属さず、絵を描き続けてきたので、《孤高の画家》と呼ばれるようになったのでしょう”とも述べています。

Koizumi4 水墨画に見ざめてから、目が出始め、”そのころから何とか食べられるくらいに絵が売れるようになった”のだとか。53歳で初めて山種美術鑑賞最優秀賞を受賞。奥村土牛も遅かったですが、彼はもっと遅かったですね。ほんとの大器晩成型です。

なぜだか私は、彼が描いたという、鎌倉建長寺法堂の《龍雲図》(2000年完成当時76歳)も、京都・建仁寺法堂の《双龍図》(2002年完成)も、実物を見ています。

2005年5月、鎌倉の建長寺を訪れた時、たまたま法堂が公開されていて(普段は閉ざされている)入ったのがきっかけで、小泉淳作という名を知りました。初めて聞く名前だなあ、とぼんやり思ったのを覚えています。首をうんと上げ、その天井に描かれた《龍雲図》は立派でした。いつか、この画家の展覧会があったら行ってみよう、と思ったものです。確か、その時は写真撮影禁止だったと思います。

次にこの画家の名が目に入ったのは、この2月、京都・建仁寺(京都最古の禅寺)を訪れた時でした。皆さんは、このお寺をご存知でしょうか?きっと、どこかでこの名前を聞いたことがあるはず!

そう!宗達の《風神雷神図屏風》は、このお寺の所蔵品なのです。拝観料500円を支払い、方丈に上がりますと、なんと目の前にどどーんとこの屏風がお出迎えしてくれます。ただし、高精細デジタル複製画ですが・・・

Kenninji1

この法堂の天井に、非常に大きな《双龍図》が描かれているのですが、その行き方が面白いのです。まず、方丈に拝観料を払って部屋に入り、そこから別棟の法堂いくために、備え付けの草履をはいて、暗号式の小さなドアを開け、通りを横切り、また暗号を押して小さなドアを開けて入るのです。帰りも同じ方法。

Kenninji2

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これが、畳108畳の《大双龍図》、天井いっぱいに描かれていて、もう圧巻です。作成の為にプレハブを建てる話も予算上難しいという時に、北海道の中札内村にある廃校の体育館が使えることになり、そこでこの見事な龍を完成させたのだそうです。70歳を過ぎてから、大作依頼が連続して来るなんて、ほんと人生、何があるかわかりません。下の写真は、法堂外観(西側から)。方丈内の庭も素敵ですので、まだ行かれてない方は、ぜひともお勧めします。

Kenninji4

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2010年9月13日 (月)

「陰影礼讃 SHADOWS」 国立新美術館

Ineiraisan1 私は、《陰翳礼讃》という言葉が気に入っています。今も愛され続けている谷崎潤一郎氏の同じ題名の本を読んでからですが・・・。内容は、かなりの部分を忘れていますが、未だに”西洋の文化であるペンの代わりに、アジアの文化である毛筆が世界に広がっていたら、今の世界は大いに違っていただろう”とか、ろうそくとか月の光の中で見る金地屏風の美しさを愛でる描写は忘れられません。昭和8年という西洋化にひた走る日本を横目に、文学者らしい繊細な感性によって日本本来の良さ美しさを鮮やかに私たちに示してくれた素晴らしい本だと思っています。

この良いイメージがあったからこそ、この展覧会を見に来たのですが・・・な、なに?この支離滅裂な展示は・・・。写真と絵がごちゃまぜ、時代、画家の国籍もバラバラ。クールベ(仏)の横にモランディ(伊)そして坂本繁二郎、速水御舟と続き・・・そして、須田国太郎の横にリベーラ・・・。

Ineiraisan2 会場は、左に続くパンフレット(クリックしますと、大きくなります)の大文字ローマ数字に書かれているように、それなりにテーマが設定されています。でも作品は、強引にそれに応じて分類されただけで、入れ替わってもおかしくはない状態。とにかく、展示のコンセプトが分からない。思いもかけぬ絵を隣通しに並べ、新しい発見を鑑賞者に見出して欲しいのでしょうか?《陰影礼讃》ではなかったのでしょうか!もっと絵の価値を高める効果的な展示方法があったのではないか・・・私は心のどこかからか、怒りがこみ上げてくるのを感じました、こんなに有名な画家ばかりの絵が集められているのに・・・もったいない。

せっかく来たのに、怒っていては何も始まらない、一つ一つの絵を楽しもうと自分に言い聞かせ、会場のテーマには振り回されないようにしたところ、だんだん面白くなってきました。

Ineiraisan3 クールベのリンゴは下手!とか、リベーラの人物描写はやはり素晴らしい、ドーミエはほんとに味があるなあ、ジャック・カロはよくこんな細かな作業ができたなあ、須田国太郎の作品ではひっかきの痕は見当たらないかなあとか、まあこんな単純な下らない事を考えながら楽しんだわけです。

《陰影礼讃》のまさにすばらしい作品に出会えたのは、最後の方でした。高松次郎氏の《影》!下のパンフレット最後のページにある作品です。大きく曲がった白いキャンバスに、人々の話し合っている様子がプロジェクターに等身大の影として映っています・・・ほんとにそこに人がいそうな気がして、思わず反対側にあるはずの光源を探しました。自分の影が映ってはいけないと思ったからです。

Ineiraisan4 えっ?どこにもない!えっ?どうなってるの?彼の小さな習作を見ていて、ようやく分かってきました。これは、プロジェクターからではなく、実際にキャンバスに描かれている絵だったのです。傍まで行ってじろじろ見ましたら、ほんと見事に描かれていました!いやいや面白い!これだけでも見た価値があったと満足して次の大きな黒いカーテンが閉め切られた部屋に入ると・・・

私の眼は、釘づけ状態に。長い間その広い部屋で、流される映像に見入ってしまいました・・・おもしろーい!私がボーっと見ている間、後から入っていた方は、ぱらぱらとすぐに出て行きます。みんな、面白くないのかなあ・・・

それは、海外の街角の様子を、デパートの内側から、縦長の磨りガラス越しに撮ったような映像が4種類流されていたのです。音も天井から流れていて、道路を走る車の騒音や、人の話し声も聞こえていて臨場感たっぷり。言語は英語。ニューヨークのような気がしました。

1つには、まずガラス掃除の人が梯子を抱えやってきて、ガラスの上方から拭き始めます。下まで来たところで荷物を片付け去ってしまいました。そこへ犬がふらふらと来て、下の方をくんくんと匂った後、何か舐めて行き、次には女性がぶらっと。その後来た男性は、おもむろに小さな絨毯のようなものを広げ初めました。この人、ここに座り込んで物乞いするのかなと思っていたら、なんとお祈りを始めたのです。きゃー、イスラムの人だったのかー。

別の映像では、ずーっと女の人同士が話し合っていたり、電話する男性がいたり、アピールする紙を持って、こちらのガラスの内側の人に向いて立っていたり(かなり印象的)、とにかくそこにいるだけで、人々の息遣いや活動している街並みの雰囲気が伝わってくるようなのです。人々の生活の一場面を、ちょっとのぞき見しているような感覚さえ覚えました。私には、実に面白い作品だったのですが・・・他の方の意見も聞きたいような気がします。

と、このように最初は面食らったものの、最後の2作品は、まさに《影または陰》を礼讃する、とても印象に残る良い作品だったと思います。しかしこの展覧会、全体的に見てどう見ても構成が悪いとしか思えません。先週の平日の午後に行ったのですが、かなり空いていました。一体この展覧会は、どういう人をターゲットにしたのでしょうか?写真愛好者?絵画愛好者?もし、両方を考えていたのなら、パンフレットの表紙は、写真だけでなく、絵も載せるべきだったのではないでしょうか。有名な画家の良質の作品が集まっているのだから、もっと美しいアピール方法があったのではないかと、思ってしまうのです。

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2010年3月31日 (水)

大観と栖鳳ー東西の日本画ー 山種美術館

Yamatp この美術展を知ったのは、最終日前日つまり土曜日の夜だった。美術関係も教会関係も、ここ1年ほど熱意を持っていなかったので、気づくのが遅れた。フランス語受験が如何に日常生活に弊害を起こしていたか、私の健康状態も含めてよくわかるというもの。ま、とにかく、良かった良かった・・・間に合って。

なんといっても、私の好きな前田青邨の《異装行列の信長》と《腑分》を、久しぶりに見ることができたのがうれしい。好きなのに今まで書いたことがないと思うので、ちょっと詳細を。説明によると、信長は斎藤道三との対面に赴くとき、異様な出で立ちだったらしい。髪を萌黄色の紐で結い、帷子の片方の袖を外し、太刀と脇差は縄で巻き、腰には瓢箪や袋を付け、虎と豹の半袴、という姿だったという。しかし、正式の対面時には、きちんと正装して現れたそうだ。

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顔は相変わらず無表情だけれど、着物の柔らかでぼけたような豊かな表現や、信長を囲んでいる人々の描き方も、次の《腑分》同様、上手だなと思う。《腑分》では、手を合わせている人、見たくないものを見るように横目で睨んでいる人、大きく目を見開いて研究しようと熱心な人など、多くの人が重なり合っているのに、静けさが支配している。これが切手になった時から、日本画にしては題材も面白いし構図も変わっている、そして人の重なり表現が上手だな、と思っていた。

Yamat13huwake

青邨の横には、ちゃんと安田靫彦の《平泉の義経》と《出陣の舞》も展示されていた。義経の方は、兄頼朝の元へ駆けつけるため、藤原秀衡と別れの盃を交わしているところ。相変わらず無表情だけれど初々しさがにじみ出ている義経、そして左下に半分だけ見えている盃によって、どういう場面かが見物者はわかるようになっている。これが、歴史に強い靫彦のテクニックなのだそうだ(ニューオータニでの展示でこう説明されていた)。

Yamat5yositune

それから、下村観山の《老松白藤》、これは素晴らしい。ここでの画像は小さいけれど、実際は、上のどれよりも大きい。堂々とした年月を重ねる老松の木肌の表現と、くねくねとねじっている藤のこれまたしっかりした茎、そして柔らかな淡い藤の花の取り合わせが見事。どういう筆さばきをしているのだろうと、藤の茎や松の木の表面をじろじろ見てしまった。金地に色を重ねると薄くなりそうなのにしっかり色が付けられ、画家の意気込みを感じる。これは右翼だけ、左の絵ハガキも欲しかった・・・

Yamat1kazan

そして、大好きな川端龍子《鳴門》。彼の絵はいつも雄大なので、その大きさに圧倒され、パーっと小さいことは忘れてしまえる気持ち良さがある。7,8年前、蒲田にある美術館とアトリエを見てから、ますます好きになった。そこでは、大胆な構図の絵がたくさん見られますし、午前と午後道路の向かい側にあるアトリエに案内してくれます。細部の凝った素敵な邸宅と庭でした。

Yamat3naruto

ちなみに、初めてここを訪れた主人が気に入った絵は、一番上のパンフレットに書かれている竹内栖鳳の《班猫》でした。納得。

山種には何度も足を運んでいるので、もうほとんど見てしまったような気になり、興味が少し薄れていたのですが(これも、フランス語のせい)、今回久しぶりの訪問にかなり刺激されました。何度見てもいいですね。

関係ないですが、ようやく日本株価が11,000円を超えました。何時頃、リーマンショック以前の株価に戻るのでしょうか?

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2010年3月29日 (月)

安田靫彦展―花を愛でる心ー ニューオータニ美術館

Yasuda1yukihiko 安田靫彦と前田青邨の歴史画の人物表現は、どことなく似ている。平べったい感じで表情もなく、人物の動きが硬い、。似ているのに、なぜか青邨の絵は大好きで、靫彦の絵はどういうのか・・・好きになれない。

青邨の絵には、変な言い方かもしれないけれど、人物の身体の幅がある。しかし靫彦の絵は、胴も細くて漫画的。”安田靫彦の人物は、折り紙で折られた紙のよう”、というのが私の感想。それが彼の絵の特徴なのだけれど、どうも受け入れられない。それなのに、なぜか気になって仕方がない。なぜなのだろう?

その理由を確かめたくて、ニューオータニ美術館へ「安田靫彦展」を見に行ってきた。同じ画家の作品を見るのは、画家の姿勢も理解しやすいし、またその特徴も満喫できるので、気に入っている。でも残念!なんと副題に「花を愛でる心」とあるのを見落としていた(下のチケット参照)・・・歴史画ではなくて、植物が主題だったみたい・・・

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でも入る前にパンフレット置き場を見て、発見!右上のパンフレットがそうなのですが、なんと川崎市市民ミュージアムというところで「安田靫彦展ー歴史画誕生の軌跡」というのが開催されているらしいことが分かった。有り難い!ついでに行こうかな、と思ってその美術館の場所を見てびっくり。なんと武蔵小杉からまたバスに乗らなければいけないらしい。知らなかった、等々力緑地の位置もこの美術館の事も。感覚的にとても遠く感じる。最終日までに行けるだろうか・・・。

Yasuda3rausen

さて、この展覧会で知ったこと。靫彦は梅が好きだった。”桜には梅のような枝の面白さがない”と言っていたらしい。上の《羅浮仙》は梅の木の精。目の美しい清楚な美人。背景には、古木の太い枝からたくさんの細い新枝が伸び、そこにこれでもかと白梅が咲き乱れている。女性の細面の穏やかな表情にほんとに木の精かもしれないと思ってしまった。素敵ですね。安田の人物画を見てこんな気持ちになったのは初めて。

Yasuda2hyoutan

日本画の植物は、透明感があって色鮮やかで、なぜだかほっとした気持ちになれてつくづくいいなと思う。今回の植物画で一番気に入ったのは、《瓢箪の花》。彼の絵には”たらしこみ”がよく使われていて、時に目立ちすぎて異様に感じる場合もあるけれど、この瓢箪の葉はその技法がとてもうまく使われていると思う。立体感もあり、いいですね。

でもこの瓢箪を見て、すぐに安田靫彦だとはわからないですよね。彼の特徴が見られないんだもの。やはりなぜだか、平面的で動きが少し変な靫彦の絵を見たいと思う。そう思わせることが彼の魅力なのかな?やはり、川崎市市民ミュージアムへ足を運ばなければ、と思った。

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2010年3月27日 (土)

変遷を楽しめたー小野竹喬展ー 東京国立近代美術館

Tikyo1 彼の絵は、後期のものしか知らなかったので、今回の近代美術館での「生誕120年 小野竹喬展」は、彼の初期から晩年に至るまでの全貌を見ることができたうえに、後半の美しい色の作品を思い存分堪能出来て、ほんとうに満足できた展覧会でした。小野竹喬、いいですねえ!

日本画家は、西洋の技法とどう折り合いをつけていくか、という問題にどうしても突き当たってしまう。彼も悩んだらしいけれど、初期のセザンヌに影響を受けていたという時期、つまり構図を練り、日本画にしては重い色を使っていた日本画から、見事に単調で明るい色彩に向かう経過がとても心地よかった。

竹喬(1889-1979 89歳)は、岡山県の港町に生まれ。初期の作品には山の向こうに必ず海が見える絵を描いているけれど、あの海は瀬戸内海だったのね。祖母も長兄も画家だったようで、血筋は争えないですね。

14歳になる前に京都の竹内栖鳳に弟子入り。そこで後に親しくなる土田麦僊と出会う。一緒に訪欧した時の素描もほんと上手!と感心してしまった。明治時代の画家の鍛えられた技術はすばらしいですね。

Chikkyo2oirase

60歳を超えてからの作品は、構図が単調になり、装飾性が増し、ほんとに色が美しくなり、見ていて飽きない。この《奥入瀬の渓流 1951》のパステルカラーの波の色には、しばし見とれてしまった。

人気の《宿雪 1966》(下)では、思わず福田平八郎の《筍》を思い出してしまった。きっと影響受けたんでしょうね。木の幹をこのような黒や緑、茶色で描けるなんて素敵です。

Chikkyo4syukusetu_2

彼の絵は、夕焼けの赤色が有名らしいのですが、私は彼の青色に魅せられてしまった。この《池 1967》という作品、構図は単純だけれど、たった一色の青色がほんとに複雑に出来ていて、いろんな色を混ぜるテクニックはパステル画のよう。

Chikkyo5ike

最後にデュフィのような絵を。デュフィは気がつくのです、”印象に残るのは、形ではなくて色だ”と。だから彼の絵は、色彩が形をはみ出して描かれている。それと全く同じコンセプトだと思われる素描《西の空 1967》・・・このような絵が描けたらなあ・・・

Chikkyo7nisinosora

小野竹喬の高い技術に支えられてこそ、このような絵が描かるのはわかっているのですが、それでも思わずこのような素敵な絵を描きたいなあと思ってしまって・・・・。実は、水彩画の講習を受けることにした次第です。フランス語だけでも忙しいのに、一体これからどうするのかしら、私・・・

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2010年3月 6日 (土)

感激!長谷川等伯展

Tohaku1panph 1週間ほど前の事、東京国立博物館「没後400年 特別展長谷川等伯」を見ている途中、「楓図屏風」と「松に秋草図屏風」の前で、思わず胸がいっぱいになり、そこから動けなくなってしまった。

彼の京都での孤独な戦い、そしてその弛まぬ探求心によって育ったさまざまな技術が、彼の持って生まれたセンスとともに花が開いた・・・

2006年の秋、京都の智積院で、初めてこれらの国宝の作品を、息子久蔵の「桜図襖」と共に保管されている小さな宝物館で、心静かに味わってきたことがあり(その時の記事は、こちら)、その時もその輝くようなあでやかさに感激したのですが、今回は思いもよらなかった彼のさまざまな画風の絵も見られて、もうほんとうに感激。

初期の仏画だけをみてを、彼の丁寧さが良く分かる。その後の動植物画は、仏画とは全然異なった柔らかさがあり、「花鳥図屏風」をみても狩野派とは全然異なった自然観が見える。どれをみても、「上手!」と感心ばかり。彼は絵の才能や器用さを持っているだけでなく、地道な努力も厭わない根性の持ち主、さらに偉大な狩野軍団にもなびかない孤高の人でもあったと信じている。

Tohakuhatou

それにしても彼は、なんとこんなに種類の異なる絵を描けるのだろう。絵の詳しい友人は、「琳派の元は、宗達ではなくて、等伯だったのね!」と、感慨深げに話していた。確かにそう!私もそれは感じた。例えば、「波濤図」(上図)、「萩芒図屏風」(下図)「柳橋水車図屏風」(これは、数年前に出光美美術館で、長谷川宗宅(だったか?)の作品とともに出品されていて、素敵だなあと感心した記憶がある)など、全く琳派の作品と言っていい。

Tohakuhagi_2 Tohakususuki_2  

さらに水墨画については、牧谿の作風を勉強した跡が見える作品「八景図屏風」(下図)も美しいと思うが、彼はそれでは満足しない。真似ていてはだめなのだ、彼にとっては。

Tohaku9hakei

彼自身の水墨画を求める模索は他のいろんな作品にも表れている。下の「竹鶴図屏風」もその一つだろう。彼はほんとうに理想を追い求める人。そして、誰にも到達しえない「松林図屏風」に至る。

Tohakutake

能登に多い初期の仏画、上洛後10数年の空白の後の作品群、肖像画、そして秀吉依頼により作成された国宝の作品、そして見ていて飽きない水墨画の数々、よくこれだけあちらこちらの寺院や美術館が貸してくださったと、感謝!ほんとに、久しぶりに心から満足した展覧会でした。

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2009年12月28日 (月)

墨は紙の質によって表情が変わる

Suiboku1 ビアンカが滞在中は、主に小さな美術館へ案内していた。この世田谷の美術館静嘉堂文庫美術館「筆墨の美ー水墨画展」もその一つ。彼女もいろんな所で水墨画は見ているし、少し遠いのでどうしようかなと思ったけれど、この美術館の門を入った後の上り坂とか、木々に囲まれた建物の周りが素敵なので、それを彼女に見てもらいたいと思い行くことにした。

彼女に説明しながら見ていると、少ない展示でも1点1点をじっくり見るので、十分充実感を味わうことができる(でも、途中で疲れて、後は単発的に説明、という形になったけれど)。しかも彼女は、芸術家らしい私には気がつかない細かな箇所も一瞬にして見極め、それを教えてくれるので、私も驚くことがしばしばあった。

一応私も案内役なので、筆に墨をつけた後水を含ませたりまたその逆をしたりして、一度筆を紙にのせるだけで濃淡の線を描くことができるとか、筆の描く速さによって線の表情が変わるとか、詳しくは知らないくせに下手なフランス語で説明する。

また、墨は単色なのだけれど、様々な色を感じることができることを話すと、彼女は”分かる、分かる”と大きくうなづいた。また、パンフレットの裏面に書かれている『著色画と違って色彩が無い、あるいは少ない分、明暗や奥行き、大気や水の表現に優れ、とりわけ早朝や夕暮れ、月下や雨中・雪中などの景色を実感豊かに表せる』ことも忘れずに伝えた。

右上のパンフレットは鈴木芙蓉作、「那智大瀑雨景図」。画像右側の、滝の水が強い風にあおられて霧のように山全体を覆ってしまっている様子は、まさに水墨画のすばらしいテクニックの一つでしょうね。

Suiboku2 私の大好きな牧谿の「漁村夕照図」(根津美術館・国宝)を見ても、これまた同じようなテクニックが見られる。夕方の、右側に優雅に広がっている霞は、ほんとに美しい。牧谿をはじめとする南宋絵画は、この展覧会前期展示の伝馬遠の「風雨山水図」(パンフレット裏面の左下図)同様に、必ず絵の中に空気中の湿り気を感じさせるゆったりとした空間が広がっていて、その淡さにこちらまでゆったりさせてくれるような気がして、とても気に入っている。

同じくパンフレット裏面中央上部にある白っぽい絵は、酒井抱一の「波図屏風」。総銀地に荒れている波だけを描いた屏風だけれど、抱一のこのような激しい動きを表した絵は、初めて見たような気がする。遠くからだと分からないほどの薄い緑色が効果的にあちらこちらにぬられていたが、これもビアンカが見つけてくれた。

彼女がこの展示会で気に入ったのは、ガラスケースに収まっていた抱一が描いた小さな絵だった。淡い墨で江ノ島(だと思う)が描かれているように記憶している。実は私も思わずこれに惹かれた。半島の中央部分が白くなっていて、なぜか内部から光が放たれているように見えたのだ。残念ながら絵葉書にはなく、ビアンカが非常に残念そうに見えたので、彼女の”いいわよ、いいわよ”という言葉を横に、受付の人に頼んでみた。フラッシュなして写真を撮らしていただけないかと。当然ダメ。当たり前ですよね。すみません、受付の方。

Suiboku3 興味深かったのは、紙の質の違いによって、墨の広がりが異なるのを説明した展示。”こうぞ”や”みつまた”などから作られた紙は、墨がにじみにくいので、鋭い線を描くに適していて、絹本の場合は、ぬるとすばやく中に墨が吸い込まれていくので、ぼかすのに適しているとか。また金地は全然浸み込まないので、テクニックが必要。同じ筆さばきでもこんなにも異なるのかと、本、絹本、絖本、金箋、の4種類の掛け軸を見て納得した。

右の画像は、受け取った目録の表紙で、伝周文「四季山水図屏風」(重文)の左隻だとか。いつも思っているのだけれど、東京国立博物館とか西洋美術館の、常に同じスタイルのあの味気ない目録が、このように美術展ごとに展示物の1つが印刷されていると、味があっていいと思うのですが。

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2009年10月 2日 (金)

「日本美術」 記事一覧 L'art Japonais

今まで書いた日本美術に関する記事一覧です。少ないですね、好きなのですが・・・

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2009-01-03  2008年に鑑賞した美術展一覧
2008-10-31  印象的な色 田村能理子の絵
2008-10-04  知らなかった明治の西洋画画家集団 五姓田一門
2008-09-04 明治初期の日本画画家 狩野芳崖

2008-01-14 現代の仏像を彫る澤田政廣の世界
2007-10-03 知らなかった画家 谷 文晁 un Peintre japonais qu'il s'appelle TANI Buncyou
2007-08-26   花鳥礼讃ー泉屋博古館 分館
2007-08-25   夏の恒例チャリティーイベント

2007-08-22   谷川にある秘美術館・天一美術館 Tenichi Museum à Tanigawa
2007-08-15  金刀比羅宮 書院の美② 裏書院
2007-07-23  金刀比羅宮 書院の美① 表書院
2007-07-11  SHOING-ARTIST 吉川壽一 JUICHI YOSHIKAWA

2007-05-17 佐伯祐三と佐野繁二郎展
2007-01-03 2006年の美術展について sur l'exposition de l'année dernière au Japon
2006-12-16 松島の瑞巌寺 Zuiganji temple
2006-11-12 智積院の長谷川等伯 Tôhaku HASEGAWA à Chisyaku-in

2006-10-22  鬼才のなせる業 円空の仏像 Statue du Bouddha par Enkûu
2006-10-14 国宝「伴大納言絵巻」 出光美術館
2006-09-17 日本画風波の表現 La représentation de la vague en style japonais
2006-09-10 見方が変わった・・・ J'ai changé d'avis

2006-09-01  若冲の回りで 三の丸尚蔵館にて Autour de Jakucyu
2006-08-12 日本人と桜 les Japonais et les fleurs de cerisier
2006-07-29 艶かしい鳳凰 Un phénix séduisant
2006-07-19 応挙の弟子、長沢芦雪という画家 Un peintre Rosétsu qui était un élève de Ôkyo
2006-07-17 日本画はやはり美しい L’art japonais est toujours plein de beauté

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2009年1月 3日 (土)

2008年に鑑賞した美術展一覧

私がブログを書き始めたきっかけは、展覧会の感想を忘れように書き留めておくためだったのですが、いつの間にか方向が変わってしまいました。まあそれも良いのですが、それにしても、昨年の実績はひどいものです。

なんと、昨年1年間に鑑賞した美術展は、たったの38・・・。以前はこの倍の数見ていたのに・・・悲しいかな、これではとても”美術鑑賞が好きなんです!”とは言えませんね。

でも昨年は、本当に興味のある展覧会だけを見に行ったので後悔はありません。ただ、春に京都l国立博物館で開催された「河鍋暁斎展」を見なかったのは、ほんとに残念!この頃は、旅行が詰まっていて忙しかったのです。

今年は目標が低いのですが、1週間に少なくとも1つの美術展は鑑賞して、その感想も少しでもいいから書きたいと思っています。パンフレットだけのときもあるかもしれませんが・・・。

一応忘れないために、昨年の一覧を書いておきます。この作業をしながら、だんだんその美術展を見たときの感激を思い出しました・・・それなのに、この観覧記の数の少なさといったら・・・なんと情けない。すぐに書かないといけませんね。

<1月>
★(1)「故郷のスイスの村のぬくもり アンカー展」 Bunkamura 2007/12/1-2008/1/20 観覧記

★(2)「ティツィアーノ《うさぎの聖母》 聖なる詩情」 LOUVRE-DNP ミュージアム・ラボ 2007/10/27-2008/3/1 観覧記

F_2 ★(3)「近代日本画 美の系譜」(水野美術館コレクションの名品より) 大丸ミュージアム東京 1/10-1/28

こんなに見事な美術品を豊富に持っている美術館が長野県にあるとは、全然知りませんでした。ぜひとも訪れてみたい美術館の一つになりました。山種美術館の長野版のようです。このような日本画は、ほんとうにいいですねえ。

橋本雅邦「紅葉白水」、横山大観「鶉」、下山観山「春秋」、池上秀畝「歳寒三友」、上村松園「夕べ」、鏑木清方「大川の虹」、樫山南風「朝の月」、山口蓬春「夏蔭」、杉山寧、高山辰雄、加山又造など。

F_3 ★(4)「没後100年 橋本雅邦展」 川越市立美術館 1/12-3/9

雅邦の、江戸末期から明治初期に渡る作品を見たいとずーっと思っていました。でも、今回のは、ほとんどが明治以降のものばかり。

維新前の雅邦の作品が少ないのは、明治3年の火災によって全てを失ったからと知ったのですが、気の毒なことに、それより1年前に奥さんがあまりの環境の変化によって発狂していたのです。江戸末期の画家は大変な時期を過ごしました。彼の作品については、また書きたいと思っています。

Photo ★(5)「相原求一郎記念室」 川越市立美術館常設展

名前だけは知っていたのですが、作品を認識したのは今回が初めてです。風景画を描いているのに、幾何学模様のようで、しかもおだやかでなつかしいような不思議な感覚になり、気に入ってしまいました。

相原求一郎(1918-1999)川越に生まれ。なんとモダニズムの猪熊弦一郎に師事し、抽象か具象に悩む。1980年以降は北海道の大地をライフワークとして描く。北海道中札内村に”相原求一郎美術館”があるとのこと、いつか訪れてみたいです。

さらに、この川越美術館には、私の好きな画家、小茂田青樹の絵も多く所蔵していることを知りました。彼は川越出身だったのですね。

Photo_2 ★(6)南川三治郎氏の写真展 「世界遺産巡礼の道を行く」  FUGIFILM SQUARE 2007/12/28-2008/1/30

南川氏の2冊の写真集の中から私が見たのは、”カミーノ・デ・サンティアゴ”の写真でして、ヴェズレーからサンティアゴまでのロマネスクの教会を美しく感動的に映し出していました。

大きい写真はなんと畳一畳ほど。圧倒されました。フランスについては訪れたことのある教会ばかりでしたが、スペインの北の方は未知の世界なので、憧れもあり、うっとりとそして食い入るように見てしまいました。

少し先の話ですが、主人が退職した暁には、ぜひともレンタカーで廻りたいと思っております。それまでには、スペイン語もなんとかしなければいけないのかな・・・?

Photo_3 ★(7)「ロートレック展」 サントリー美術館 1/26-3/9

「日本初出品となるオルセー美術館のロートレック・コレクションをはじめ、各国から集められた油彩画の名品、挿絵、素描など250点を公開する」展覧会。

彼のポスターはほんとにかっこいい!なんとセンスが良いのだろうといつも感心してしまいます。「赤毛の女(身づくろい)」も繊細な線が、娼婦達の心の、力強くもあり崩れやすくもあるもろさを表しているようで、美しく切なかったです。

<2月>
★(8)「宮廷のみやび 近衛家1000年の名宝」 東京国立博物館 1/2-2/24

F_4 ★(9)「王朝の恋ー描かれた伊勢物語」 出光美術館 1/9-2/17

日経新聞に「日本絵画の古典を見る楽しさを素直に喜べる展覧会だ」と評されていましたが、展示に工夫がされていて、ほんとにそのとおり、とても気持ちよい美術展でした。

仮名と絵の調和の美、そして男側からみる多様な恋の行方が、鎌倉時代の絵巻物から始まり、伝宗達の色紙や華やかな屏風に描かれ、ほんとに目だけでなく心まで楽しませてもらったように思います。

さらに、場面ごとに内容の説明が書かれているので、私のように古典に疎い人でも十分に楽しめてとても有難かったです。

<3月>
Vinusf ★(10)「ウルビーノのヴィーナス 古代からルネサンス、美の女神の系譜」 西洋美術館 3/4-5/18

少々疲れ気味で観覧したため、気分が乗らず、あまり楽しめなかった美術展でした。前述の”王朝の恋”のように、展示に工夫がされていると、私のようなボーットした頭で見ている人もひき付けられたと思うのですが・・・。

美の象徴としてのヴィーナスは、かつては神話の中のような、つまり中性のような印象を与えていたのだけれど、視線がぐっとこちらに向けているティツイアーノの絵によって、意思を持った、実際に生活をしている女性を表している絵に変わっていました。

これがまた、マネによって模倣されるのだけれど、ジョルジョーネのヴィーナスと3つを並べれば面白いだろうなあなどと、関係ない事を考えていたので、他の絵の印象はまったく無し、私のポカです。

アンニバレ・カラッチの、ティツイアーノと違った美しさ、エレガントさを確認できた事が、私にとって唯一の収穫でした・・・

<4月>
Guppio ★(11)「フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロとグッピオの書斎」 イタリア文化会館

イタリアのルネサンスの頃は、各地に芸術や文化復興に尽力した優秀な領主がいたのですね。ウルビーノのフェデリーコ・ダ・モンテフェルトロ(Federico da Montefeltro 1422-1482)もその一人だそうです。

ピエロ・デッラ・フランチェスカの絵で彼を見た事はありましたが、彼については全然知りませんでした。ウルビーノへは行ったことがないので、また勉強しなければなりません。

Guppio2 グッピオで彼が使用していたというこの美しい書斎。本物は、ニューヨーク・メトロポリタン美術館へ売却してしまったため、5年の歳月を費やして再現したそうです。書斎内部すべてが、遠近法とトロンプ・ルイユ(Trompe-l'oeil 騙し絵)が組み込まれた寄木細工でできているという信じられない部屋です。

寄木細工といえば、教会の聖職者席でよく見ますが、このような部屋全体というのは、初めてです。しかも、この格子模様もすべて木、物の影までも木で表現されていて、あまりの細かな技巧に驚きの連続でした。

数学者でもあったピエロ・デッラ・フランチェスカの「遠近法論」のファクシミリ版も展示されており、他のページも見てみたいなあと思いながら、食い入るように見てしまいました。こんな珍しいものが見られたなんて、感激です。

Sakura2008 ★(12)「桜さくらサクラ2008」 山種美術館 3/15-4/20

この山種に通っていると、何度も同じ絵と出会うことになるのですが、桜のやさしいピンク色は、ほんとに華やかで、どんな時もやさしく心豊かにしてくれるので、また足を運んでしまいます。

奥村土牛の淡いピンク色の広がる山々も、橋本明治の華やかな桜も、松岡映丘の平安調も、石田武の朧な月夜も、すべて大好きです。ほんといいですねえ・・・

★(13)「21世紀展」 東京美術クラブ

--- ここまで書いてきたのですが、すみません・・。今回の報告は、これまでとさせていただきます。馬鹿な私です、毎回、少しでも書けば、こんなに苦労することは無かったのに・・・。

<7月>
★(14)「コロー 光と追憶の変奏曲」 西洋美術館 6/14-8/31 観覧記
★(15)「対決ー巨匠たちの日本美術」 東京国立博物館
★(16)「フランスが夢見た日本」 東京国立博物館
★(17)「ウィーン美術史美術館 静物画の秘密展」 国立新美術館 7/2-9/15
★(18)「エミリー・ウングワレー展 アポリジニが生んだ天才画家」 国立新美術館 5/28-7/28
★(19)川村美術館

<8月>
★(20)「フェルメール展」 東京都美術館 8/2-12/14
★(21)「狩野芳崖 悲母観音への軌跡」 東京藝術大学美術館 8/26-9/23 観覧記

<9月>
★(22)「源氏物語の1000年」 横浜美術館
★(23)「五姓田のすべて」 神奈川県立歴史博物館 8/8-9/29 観覧記
★(24)「田村能里子展」 日本橋高島屋 9/17-9/29 観覧記
★(25)「西洋絵画の父ジョッドとその遺産展」 損保ジャパン 9/13-11/9

<10月>
★(26)「ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情」 西洋美術館 9/30-12/7
★(27)「ボストン美術館 浮世絵名品展」 江戸東京博物館 10/7-11/3
★(28)「ピラネージ版画展2008ー未知なる年の彼方へ」 町田国際版画美術館 10/4-11/24 観覧記
★(29)「大琳派展ー継承と変奏」 東京国立博物館 10/7-11/16
・「フェルメール展」 2回目

<11月>
★(30)「線の巨匠たち アムステルダム歴史博物館所蔵 素描・版画展」 東京藝大美術館 10/11-11/24
★(31)「輝く書物ー中世写本フェクシミリー展」 東京芸大美術館
★(32)「近代初期風俗画 躍動と快楽」 たばこと塩の博物館 10/25-11/30

<12月>
★(33)「琳派から日本画」 山種美術館
★(34)「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」 国立新美術館 10/4-12/14
★(35)「アンドリュー・ワイエス 創造への道程」 Bunkamura 11/8-12/23 観覧記
★(36)「丸紅コレクション展ー衣装から絵画へ 美の競演」 損保ジャパン 11/22-12/28
★(37)「いとも美しき西洋版画の世界」 八王子夢美術館 2008/12/5-2009/1/27 観覧記
★(38)特別企画 「追悼展 巨匠・ 関川雄揮のすべて」 成川美術館(芦ノ湖) 2008/12/12-2009/3/12

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