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2012年10月14日 (日)

ジェームス・アンソール展ー写実と幻想の系譜ー損保ジャパン

Ensor2_0001久しぶりに、美術展訪問記も書いてみます。手短にさっぱりと書けばいいのに、ついつい長くなるのが悪い癖です。(それよりも、根気のないのが最悪なのですが。)

この損保ジャパンは、あまりメインでない画家の展覧会をするので、わりと気に入っています。さらに今回の展示は、アンソールが活躍する前の世代の画題の価値基準とか、同時代の画家たちの動きなどもわかりやすく説明していたり、彼を取り巻く、または影響を受けた画家達の絵も展示されていて、とても充実していると感じました。

私の今までのアンソールについて知っていることといえば、この右のパンフレットのような、仮面と骸骨のイメージで、人の心の暗い部分を、鮮やかな色とのコントラスト(特に強い赤と緑という補色を使って)で描き出す、といったもの。

ところが今回の展示では、アンソールの若い時代の周りの影響を受けた時代の絵、つまり、アカデミックなものや、ターナーの模写、クールベへの尊敬、印象派の影響などをも炙り出していました。

右の絵の題は、「陰謀」(1890)。1階で放送されていたビデオによりますと、これは結婚式の場面で、周りの人たちは、お祝いをするどころか心の奥底では陰謀をたくらんでいるというのです。その説明がなければ、とてもそうとはわかりませんでした。

Ensor3
左は「牡蠣を食べる女」(1880)という縦2メートルの大きなもの。自信を持って発表したものの、女性が食べている場面を絵の題材にするなどとんでもない、と非難の的になってしまった曰くの絵。しかしよく見ると、アカデミックな技術の上に印象派の光をうまく取り入れた立派な絵ですよね。

これをきっかけに、1880年代中頃から、彼の絵は、今の私たちが知っているような題材に変化してきたのだそうです。仮面という題材は、彼が住んでいたオステンドという町には仮面の祭りがあり、母親が経営していた土産物店には、その仮面を売っていたのだそうで、彼にはなじみがあったのです。

ビデオによりますと、骸骨の題材は、イギリス人で知識人だった父親がアルコール依存症になり、路上でその死体が見つかったことから影響受けたのではないか、と説明していました。

ところが、絵の価値が世の中に認められ、彼の社会的評判も向上し始めてからは、彼は描かなくなったのだそうです。やはり、人間というもの、その環境に満足をし向上心を失なってしまったら、創作はできないのですねえ。

彼の作品は1891年までのしかありません。彼は89歳で亡くなっているのに、30歳代前半で彼の画家生活は終わったのでしょうか?後の時代、来客があると、好きなピアノを弾いていたという・・・。

Ensor4

さすが、アントワープ王立美術館!と感心させられずにはいられなかったのは、ルーベンスの「ミネルヴァ」やピーテル・ブリューゲル(子)のフランドルのことわざの絵を見られたこと。実は、アントワープ王立美術館の目の前には行ったのですが、車の調子が悪く(なぜだかロックをかけることができず)悔しい思いをしてこの美術館を去った記憶が蘇ってしまいました。

ただ大聖堂のルーベンスの絵だけは見ようと、真夏の暑い日、主人と交代で一人が車に残り一人が見に行くという方法で、焦って見に行ったのでした。13年ほど前のことです。

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