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2008年9月21日 (日)

驚くべき柱彫刻を持つスイヤック② Souillac

Soui_port_ex 教会内側出口の左側に、絵葉書と一緒に忘れ去られたように売られていた小冊子”SOUILLAC abbatiale sainte marie”を買っていました。薄くて表紙は色あせているし、ぱらぱらとめくると写真は白黒ですし、とにかくあまりぱっとしない本・・・気乗りのしないけれど、周りにお店があるがあるわけでもないので、その本を買う事にしたのです。こういう訪れる人も少ない小さな教会には、売店は普通ありません。脇にあった小さな小銭入れに、お札を押し込みました。(右上の写真は、教会入り口です。)

内容は全く期待していなかったのですが、丁寧に読むと面白い情報がたくさん書かれているのでびっくり。これならば、初めからこちらを読んでから書けばよかったと後悔した次第です。。

申し訳ないのですが、この小冊子を訳しながら、前回同様この比類なきすばらしいトリュモーTrumeauの説明をまとめていきたいと思います。当然修正も加えながら・・・(彫刻の全体像は、前回の記事を参照してください。)

右面は、てっきり戦っている場面かと思っていましたら、なんと《(宗教上の)罪(Péché)》を表しているのだそうです。7つの大罪ですね。そして正面に描かれているはその《罪の結果》、そして、左面は、《罪の贖罪》。そうだったのか!と納得です。

Trum_droit1_2 先ず右面の一番上の二人組み(左の写真)の説明から。写真がぼけていてすみません。暗いところ用の設定を忘れていたために、上手に撮れませんでした。

年配らしき人が、若者の頭を両手で押さえています。若者(右側)は、押さえつけられている為に首は前に垂れ、両手は体の前で合わせて、許しを請っているのか、お祈りしているかのように見えます。

そして前回も指摘したように、年配の人の首には、鋭いくちばしが付き刺さっていて、頭は苦しそうに後ろへ反り返っています。これは、人を抑圧している姿と、もう一人は侮辱されている姿を表しているのだそうです。

Trum_droit2Trum_droit3 真ん中(左の写真)と一番の下(右の写真)の組み合わせは、男女なんですって。私はてっきり男同士で戦っているのかと思っていました。

確かに、激し戦いでもなさそうですし、一方の体つきは柔らかそう。二組の男女とも上半身は裸で、顔のしわから判断して、真ん中の男性のほうが下の男性より年配のようです。

さらによく見ると、2番目の年配の男性の表情は少し苦しそう、なんと彼の首には、紐がかかっているのです!こ、これは、何を意味するのでしょう?愛欲からは逃げ出せない”業”を表しているのでしょうか?

要するにこれら右面の彫刻は、傲慢、抑圧、色欲を表現しているのだそうです。ミシュランでは、単に”煩悩”と書いていたけれど、詳細はこういうことだったのですね。

Trum_gauche_2 さて、次は正面。何度見ても、この彫刻には圧倒されます。左の写真は、出口に向かって左側上部にある、たったこれだけの高さしかない彫刻ですが、主題は同じで、上部の羊に2匹のライオン?が噛み付いています。このライオン、バツ印に交わった構図とか、お腹に乳首が見えるなど、モワサックのと全く同じです。でもモワサックのは構図の美しさ、エレガントさが見て取れますが、こちらは見事に獰猛さが強調されています。

これらの混沌とした彫刻群は、憤慨、混乱、憎悪など、罪の一連の結果を私達に見せているのだそうです。それらは、ライオンやグリフォンの襲撃、4足の鳥(なんと4足獣だったとは!)の貪り合いなどで象徴されています。

Trum_cen2 これらの今まで見たことも無いような異常な絡み合いは、混沌の世界から来る不安だけでなく、ガゼルや手足を失った犬、鳩、そして人間も含めて、犠牲者(動物?)が感じる恐怖をも感じさせているのです。

Trum_cen1 一番上で、お腹をハゲタカに襲われている人間は、な、なんとよく見ると、頭が猛獣の口に噛まれて砕かれそうなのです。あまりにも高いところにあるので、実際にはよく見えないのですが、撮った写真を見てびっくり。こうなっているとは・・・

破壊される以前は、入り口の中央にあったわけで、そのときははっきりと見えたことでしょう。こういう風にお腹を猛禽に啄ばまれている人間をみると、西洋の人はすぐに、ギリシャ神話のプロメテウスを思い浮かべるらしいのです。

人間に”火”を与えたためにゼウスの怒りをかい、山に繋がれ、毎晩大鷲に肝臓をついばまれる運命になったプロメテウス。しかし、彼は不死身の身ゆえ、夜中に治ってしまうので、また次の日、肝臓を食べられるという永遠の苦しみを味わうことになるのです。彼主題の絵は、よく見ますよね。

さて、最後の左面は、前回説明したとおり《イサクの犠牲》でして、その内容も同じようなので、こちらは省略させていただきます。

スイヤック関連記事:
   驚くべき柱彫刻 Souillac①
   タンパン:ティオフィロスの伝説 Souillac③
   イザヤ像と柱頭彫刻 Souillac④

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コメント

こんばんわ
スイヤックの柱彫刻・・凄いですね。
きっと再生力があるので・・・・「プロメテウス」をイメージすると言うのか、好きなんでしょうね。プロメテウスの絵画は良く見かけますね。
ゲーテやシェリー、なんと言ってもベートーヴェンの唯一と言っていいバレエ音楽「プロメテウス」・・・コンサートなどで序曲の部分が演奏に良く使われますね。
ギリシャ神話も・・以前、夢中になりましたが(笑)。
ヨーロッパを旅するなら、ギリシャやローマ神話は、必用なんですが・・・・もっと勉強しないといけませんね。

投稿: kju96 | 2008年9月22日 (月) 00時02分

kju96さん

Souillacに付き合って下さって、ありがとうございます。
不明な箇所は残したくなくて、書いてしまいました。

プロメテルスは絵画だけでなく、本にもなっているのですね。
アイスキュロスとかソフォクレスなどが書いた話は、よく19世紀以降の作家に書き直されていますよね。昔ラテン語を習っていたとき(もう忘れましたが)、よく名まえが出ていました。
古典は何時の時代も常に作家にとっては非常に魅力ある分野ですものね。

音楽にも取り入れられていたのですか!プロメテウスの人気はヨーロッパ人でないと掴めきれないのかもしれません。
実は、秋学期のイタリア語講座は、”神話を読む”クラスを申し込みました。イタリア語で神話を読むのって、面白そうでしょう?とても楽しみです。

>もっと勉強しないといけませんね。

いえ、kju96さんは、今で十分、有り余るほどの知識をお持ちです!!

投稿: Cojico | 2008年9月22日 (月) 19時09分

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