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2008年9月14日 (日)

驚くべき柱彫刻を持つスイヤック① Souillac

私は急いで探したのです・・・何処にあるの・・・あの複雑に込み入った彫刻の柱は・・・

教会の入り口の外側にあるはずと、建物の外側をうろうろ探したのですが、見つかりません。ここまで乗せてきてくれた親切なタクシーの女運転手さんに尋ねると、彼女は、「じゃ、私は向こうの広場でコーヒーを飲んでるから。」とさっと背を向け、立ち去ってしまいました・・・

いったい何処?ただただそれを探して教会内に入り、急いで視線を内部全体に走らせたのですが、ない!どうしてないの・・・、と少し歩き始めて、ふっと入り口を振り返った時に、”あーっ、こんなところに!”

Porte2

想像もしていないところ、上の画像のように教会入り口の内側にあったのです。有名なねじれた体のイザヤもその柱のすぐ後ろに見えました。
(この入り口の向こうは、屋外ではなく、ナルテックスのように別の部屋になっています。)

Trum_droit タンパン彫刻も、普通は入り口外側の上部にあるのに、ここは内側にあるのです・・・それが、とてもとても不思議でした。宗教戦争などで壊され、修復時に内側に設置し直したのかな?と推測したのですが、後で調べると、はたしてその通りでした。

こういう教会入り口の中央に設置されている柱は、フランス語ではトリュモー(trumeau)と呼ばれるそうです。何はともあれ、とにかく何が彫られているのか知りたくてたまらないでしょう?

正面は、動物や鳥が絡み合ってお互いを銜えている様子ですし、右側は、人間が戦いあっている場面ばかり。そして、左側は人間が逆さまに彫られていたりして、ほんとうにわかりません。

ミシュランによると、トリュモーの右側には、人生のそれぞれの時期に次々と訪れる煩悩が描かれていて、正面はその煩悩の結果(お互いを貪り食う怪物たち)が描かれているのだそうです。

へーっ、煩悩・・・右の写真が柱の右側なのですが、暗いし近すぎていてよくわかりませんね。すみません、下手で・・・。2人ずつ戦っているペアが上から数えて3組彫られているのですが・・・

Trum_droit2

右の写真の一番下の争いは、髭を生やし、髪も少しずつ束ねた老人と精悍な若者が組み合っています。
左の写真は、真ん中の争いで、髭を伸ばした年配者と、髪を菩薩さんのように丸くいくつかにまとめている若者が組み合っています。

一番上の組み合わせが一番面白くて、髭の老人が、両手を祈るように前で合わせている女性のような表情の若者の髪を掴んでいるのですが、なんとその老人の上にはワシがいて、そのワシの鋭い爪が老人の首に突き刺さっているのです。おお、これは何を表しているのでしょう?!

購入した小冊子に寄りますと、こういう争いの表現は、典型的な”不調和”を表しているのだそうです。その結果、次の正面の写真のように、次から次へと争いの連鎖は化学反応のように広がり、”相手を銜えていると思っても、別の相手から銜えられている・・”という戦いばかりの世界が出来上がっていくんですね。う~ん、考えさせられます。

Trum_cen4_3 Photo

正面の彫刻には、人物はたった一人、一番上にしかいません(左の写真)。彼は、大きな鋭いくちばしについばまれていて、困った顔をしています。大きなくちばしから考えると、この生き物は鳥のように思えますが、よく見るとなんと四足動物なのです。

正面のもう少し下は、写真が悪いので、以前アップしたパリのLe Musee des Monuments francaisで撮ったのをまたアップします(右の写真)。掴み掴まれ、噛んで噛まれて、食って食われて・・・ほんとに信じられないくらい見事に絡み合っています。

Trum_gauc_isac そして最後に柱の左側は、分かりやすい《イサクの犠牲》(右)です。ようやく聖書の場面が出てきました。現地での写真は、非常に分かりにくい(私の腕が悪いため)ので、パリの Musee で撮った写真をアップすることにします。

髭の長い人が左手で若者の頭の髪を掴み、右手を振り上げています。まさに、殺そうとしている場面ですが、若者は、静かに目を瞑り、相手に身を任せています。

まさにその時、空から天使が舞い降りてきて、アブラハムの手を止めています。そして、天使の左手には、代わりの羊まで連れてきています。

写真を大きくしてみると、この天使も羽が付いていました。初めは、さかさまの人物がいるので、何をしているのだろうと不思議でしたが、納得です。

こんな細く限られた場所に、よくこんなに上手く物語りをはめ込んでいますよね。もう感心ばかり。

さてここで、一番上の写真に戻って、ぼーっとトリュモーを眺めていただくと、なんとなくいくつかの×(バツ)印が見えてきませんか?

Moi_pilier1_2 そう!エミール・マールによると、これは、モワサックのトリュモーと同じ芸術家グループの作品なのだそうです。この優秀なグループは、モワサックの後、ボーリューで作成し、その後このスイヤックでもすばらしい仕事を成し遂げたのです。

左は、同じくパリのMuseeで撮ったモワサックのトリュモーです。
確かに似ていますが、スイヤックのtrumeauは、モワサックのより深く複雑に掘り込まれていますね。こちらの生き物は、メスのライオンばかりで、少し口を開け目は鋭く顔は怖そうで、お腹には複数の乳房があります。どうして、雄ではなくて雌なんでしょうね? 

 

この教会の正式名称は Ancienne Eglise Abbatiale Sainte Marie de Souillac スイヤックの聖マリア旧大修道院付属教会、きっと、”スイヤックの教会”でいいと思うのですが。

この記事の最後に、教会の外観をアップしておきます。入り口は、この建物の右にある細い道の先、左側に入り口があります。歴史やタンパン、また教会内部については、次回に書くことにします。

Soui_ext

《スイヤック関連記事》
  柱彫刻説明修正  Souillac②
  タンパン:ティオフィロスの伝説 Souillac③
     イザヤ像と柱頭彫刻 Souillac④

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フランスの教会 Les eglises de la France」カテゴリの記事

コメント

こんにちは
素晴らしい彫刻ですよね。
cojicoさんのロマネスク様式の教会や美術、工芸など紹介していただいている記事を読んで思うのが、この場所は、行った事があるのに、覗いた事があるのに・・・・興味がない訳でもないのに・・・・・・もう少し研究心があれば・・と何時も後悔しております。
フランスの南西部、スイヤックも通った事があります。
ピレネ山脈沿いやこのあたりもドライブしていますが、無知と言うものは恐いですよね。
50も過ぎたのだからもう少し大人の旅をしないといけないですね。
少しですが、フランスやヨーロッパの歴史は好きなのですが・・・?
もう少し勉強しなければいけないですね。
勉強になります。

投稿: kju96 | 2008年9月15日 (月) 18時11分

kju96さん

私も同じです。何も知らずに多くの名所旧跡を回ってしまいました。
もっと勉強していたら・・・と残念に思うことはたくさんあります。
ましてや渡仏前の私は、フランスの”フ”の字も知らなかったぐらい何も知りませんでしたから・・・
これからは、旅行は自分の行きたい所をちゃんと勉強してから行こうと思っています。

でも、kju96さんの旅は、ほんとに楽しそうですね。なんといっても、人とのつがなりが一番大切ですから。海外の人と普通の友人として付き合っているkju96さんがほんとうらやましいです。

>50も過ぎたのだから・・・
結構、ご自由に仕事をなさっているので、もう少し年上かと思っていました。
これからもどんどん旅行して楽しい経験がたくさんできそうですね。

投稿: Cojico | 2008年9月15日 (月) 21時02分

Cojicoさん:お久しぶりです。お元気ですか?
ル・ピュイ以来,またまた,Cojicoさんの記事に遭遇して,驚いています。
約2週間,南西仏をドライブ旅行し,偶然にもスイヤックを通過したので,この教会を訪ねました。HPへの記事掲載は,相当遅くなりそうなので,とりあえず,下記webアルバムに画像掲載しました。お時間あれば,ご笑覧下さい。
https://picasaweb.google.com/111425444708914103410/20155#

投稿: Ken | 2015年5月28日 (木) 20時10分

Kenさん、本当にお久しぶりです。連絡、うれしかったです。ありがとうございます。
私の方は、健康の問題はあるものの、好きなことだけは相変わらず精力的に動いています。

昨日、Kenさんのwebアルバムを拝見させて頂きました。美しい写真ばかりですねえ。コンクのタンパン、アルビのフレスコ画、セナンクなどの画像を見て、私も自分の旅を懐かしく思い出してしまいました。きっとKenさんも、2週間忙しかったかも知れませんが、充実のした時間を送られたでしょうね。先ほど久しぶりに、Kenさんのホームページのトップをちらっと覗いたのですが、随分項目が増えていて、どこをクリックしようかと迷ってしまいました。世界を楽しまれているようですね。

ここ2年ほどは、スペインを車で回っています。北スペインのロマネスク教会の彫刻を見ていると、エミール・マールが言っているように、コンクやモワサックの彫刻を作成した集団が、スペイン北部の教会を回っていたのだなあと痛感させられることはよくあります。2羽の鳥が首を絡め合っていたり、人もねじりあっていたり、ほんと面白いです。

Kenさんから言われた言葉、いまだに忘れることができません。
「100歩の道も1歩からですよ。」「・・・はい・・・」

投稿: Cojico | 2015年5月29日 (金) 21時30分

Cojicoさん:メッセージ、有り難うございます。
今回、時間が取れず、ピレネーは遠望しただけでした。次回は、スペインorポルトガルを考えています。また、参考にさせていただきます。
私がもっと若かったたら、巡礼の道に挑戦するのですが・・・(^^;

投稿: Ken | 2015年5月30日 (土) 09時43分

Kenさん、それは、私も同じです。巡礼には心惹かれるものがあるのですが、現実はほんとうに大変そうでしたよ。靴は泥で汚れ、顔は日焼けの為真っ赤!木々などない草原を歩くので、景色は美しいのですが、歩く本人にとっては厳しい自然。みなさん、黙々と歩いていましたよ。
現在は、次のホテへの荷物配送システムがあり、重い荷物からは解放されるようですが、やはり心の底から歩こうと思わない限り、厳しい道のりですよね。

スペインについては、何も書いていません。すみません。もし行かれる事になり、一つの案として私の行ったルートを参考にしたいと思われましたら、またメールを頂ければと思います。1週間の旅行を3回ほどしました。一生懸命回ったのですが、まだ、コンポステラまで行けていません。トホッ。

投稿: Cojico | 2015年5月31日 (日) 18時23分

Cojicoさん:メッセージ、有り難うございます。
私の高校時代の同期生(女性)が1ヶ月ほど巡礼の道を歩いた記録をブログに書いたので、それを読んで、とても私には無理・・・と感じました。
スペインに行くことになったら(早くて来年でしょうね)、宜しくお願いします。

投稿: Ken | 2015年5月31日 (日) 23時17分

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