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2008年1月31日 (木)

2008年1月に書いたこと、観たもの

2008年1月に書いた事や楽しんだ美術展をまとめておきます。

2008-01-29  マントヴァにあるマンテーニャの壁画「夫婦の間」について② ”Camera degli Sposi” da Mantegna a Mantova

2008-01-23  マントヴァにあるマンテーニャの壁画「夫婦の間」について① ”Camera degli Sposi” da Mantegna a Mantova

2008-01-20 柱頭が目前に置かれているモザックの教会 Abbaye de Mosac

2008-01-14 現代の仏像を彫る澤田政廣の世界

2008-01-13 絵画的半過去(imparfait pittoresque)と物語体不定詞(infinitif de narration)

今年になって、ようやく美術展に通う心の準備が整い始めました。でも、今までのように、出来るだけ多くの展覧会をみよう、などとはせず、自分の興味のある展覧会のみ選んで楽しもうと心に決めた次第です。

・「アンカー展」 Bunkamura  2007/12/01-2008/01/20

Photo_2 Photo 穏やかな時間の流れ、愛情溢れた家族風景、真剣であどけない子供達、それらを暖かい目で包み、精緻な筆裁きで表現したスイスの国民的画家アルベルト・アンカー(1831-1910)。

印象派の画家が活躍していたパリに居て、描くのは故郷のスイスの村でのことばかり。そして、その波にも影響されずに、頑として自分スタイルを守った画家。

右上の絵「おじいさんとおばあさんの家」は、私も一緒にぼーっと暖炉を見ていたくなるほど、気に入ってしまった。子供達の安心しきった表情の一方で、おじいさんの顔には、穏やかさと共に今までの苦労がにじみ出ていて、人生の厳しさを感じさせている。

Photo_3 Photo_5

少女の無邪気さあどけなさに溢れているこれらの絵。右の裸足で寝込んでいる少女は、野原で夢中で花摘みをしていたのだろう、帽子の中からあふれ出している紫色の花。すべてがほんとにいとおしい。

・「ティツィアーノ《聖母子と聖カテリーナと羊飼い》通称《うさぎの聖母》 1525-30」 ルーヴルDNPミュージアムラボ 2007/10/27-2008/3/1

ティツイアーノらしい美しくエレガントな聖母子像。色も美しいけれど、布の表現も見事。ミュージアムラボらしく、丁寧に分解して説明してくれる。しかし、途中から寒くなり(コートをクロークに預けていたので)、それが気になってナレーターの話に集中できなかった。

でも、大丈夫。このルーヴルDNPのすばらしいところは、ホームページに会員登録をした後、当日受け取ったカードのICタグ番号を入力すると、もう一度説明聞くことができるのです!!!有難い!

Photo 左の美しい白のドレスを着ているのは、4世紀のアレクサンドリアで殉教したという聖カテリーナ。足の下には、拷問の道具である車輪が描かれているので、題名が無くても分かるのだそうです。絵の中の幼子キリストから指輪を渡されたという”神秘の結婚”をした人として、多くの画家に描かれていますね。だから彼女は、既婚者の髪型である髪を上に上げているのだそうです。

キリストが白い布に包まれているのは、神聖なものは直接手では触らないことになっているため。前の籠の中には、原罪を表すりんごとキリストの血である葡萄が白い布の上に置かれています。自らではあがなうことの出来ない人間の罪を、イエスの死によってあがなうという贖罪を示しているのだそうです。

肝心の兎に付いてですが、昔兎は両性有具と考えられていて単独でも妊娠可能なので、それは処女のまま妊娠したマリアを指すとか、兎の白はキリストの純潔を表しているとか、兎は臆病なので、神の前での恐れを表しているとか、様々に考えられるようです。結局、白は原罪のあがないではなか、ということでした。

映写室で、マリアの顔の向きとか兎の数が変更された痕がレントゲン撮影で分かった、と説明していましたが、ベラスケスなど、強大なキャンバスの中で肉眼でもはっきりわかるような修正をしているのを考えると、卓越した画家でも悩む人間なんだな、とほほえましくなってしまいました。

最近までピエロ・デッラ・フランチェスカの本を読んでいたので、ピエロの絵を見続けた目で改めてこの絵を見ると、草原の上に座っている状況やマリアの表情や体の動き、斜めに配置された人物など、まったくルネサンスの絵だな、と感心してしまった。

長くなったので、以下の展覧会については、別の機会に書きたいと思います。

・「近代日本画 美の系譜」~横山大観から高山辰雄まで~ 大丸東京新店オープン記念 水野美術館コレクションの名品より 1/10~1/28

・「橋本雅邦展」 川越市立美術館 1/12-3/9

・「ロートレック展」 サントリー美術館   1/26-3/9

・「世界遺産巡礼の道をゆく」 写真:南川三次郎 FUJIFILM SQUARE  12/28-1/30

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

こんばんわ
久し振りの東京は、親睦会と確定申告、そしてルノアール親子展でした。
ロートレックも行きたかったのですが、2月末に戻りますので、その時に行こうと思っています。
ロートレックといえば、トゥールーズから1時間くらいだったでしょうか、アルビと言う町だったと思います。
アルビジョワ派の拠点の町で、ロートレック以外に、川沿いの大聖堂・・その横にある宮殿にロートレックの作品が
展示されていました。
1日がかりで見たのですが、絵画は覚えていますが、大聖堂の名前は覚えていません。
アルビのロートレックの展示作品も日本に持ってきているかも知れませんね。
もし、行かれたら情報を教えてください。


投稿: kju96 | 2008年2月 5日 (火) 21時50分

Cojicoさん
本当にアンカーは、感動でした。スイスでは人気な画家なのに、日本ではまだまだ知名度が低いので、今回の展覧会のおかげで少しは、人気が出ると思います。

 それから南フランスへは、例の美術ツアーで結構行きましたが、「ロートレック」の美術館へも行きましたね。残念ながら、その頃は、「ムーランルージュ」のポスター?程度の認識しかなく、よく覚えていませんし、記録もとってありませんでした。

投稿: もりたたろべえ | 2008年2月 5日 (火) 22時45分

kju96さん、そして、たろべえさん

コメント、どうもありがとうございます。
お二人ともアルビまでいらしたんですね。

アルビのセント・セシル(聖チェチリア)大聖堂、装飾過多かと思われるほど強烈でしたね。でも私、こんな派手な教会好きです。いつか書こうと思っております。

その教会の側に「ロートレック美術館」があったのに、私ったらパスをしてしまいました。その日のうちにシャトーホテルを予約していたロデスという町まで行かなければならなかったのです。

帰国後、”ロートレック美術館が目の前にありながら行かなかった”という後悔というか、トラウマというか、に取り付かれ、東京近郊で開催される「ロートレック」と名のつく美術展にはせっせと通いました。

で、今回も行ったのですが、漸く分かりました。作品として世に出廻っているのは、大体見てしまったという事が・・。でも、彼がマメに送った母親宛の手紙や書き込みのあるラテン語の辞書などを見ることはできないのです。やはり、アルビで見るしかないのです。

kju96さんもたろべえさんも、それをご覧になっているのですね。ほんと、うらやましいです。
今回のサントリー美術館の展示には、サントリーミュージアム「天保山」、オルセー美術館、アルビからも少しきているようですよ。
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/08vol01lautrec/program.html

投稿: Cojico | 2008年2月 6日 (水) 18時39分

Cojicoさん、こんばんは。
今年は美術展覧会も順調に観にいらっっしゃっているようで何よりです~☆ 無理をせず見たいものを観る、が一番ですよね。

で、私も「アンカー展」を年末に観てきました。シャルダンやオランダ絵画を想わせる精緻な描写力が子供たちやお年寄りとの間の親密なぬくもりさえ感じさせてくれた素敵な展覧会でしたね。Cojicoさんの「いとおしい」とのご感想に肯いてしまいました。
絵画を素直に楽しみながらも、アンカーの時代の田舎では両親とも働かざるを得ないから小さな子供の面倒を見るのは兄や姉であり祖父母であり、一方都会のブルジョワは余裕があるから母親が子供の世話をする..そんな時代の家族のあり方さえもが絵画から伺えるのって凄いなぁと思いながら観ておりました(^^;;

投稿: 花耀亭 | 2008年2月11日 (月) 02時34分

花耀亭さん

DNPミュージアム、漸く行ってきました。連絡せずにすみません。第1回目は、立ったまま本物の絵の前での説明が延々と続いていましたが、今回は、あのダンボールで出来たブースに座って見られて助かりました。花耀亭さんのサイトを読まなければ、パスするところでした。ありがとうございます。

私がアンカー展を訪れたのは、最後の一週間でしたので、結構多くの方がいらしてました。展覧会としては成功したのでしょうか?こういう丁寧な絵を描いたスイスの人気画家がいたことが、広く知れ渡るといいな、と思っております。

ほんとオランダの静物画を思わせる絵もありましたね。人物画ばかりと思っていたので、驚きました。同じように、非常に丁寧な画風でした。

スイスの戦前の家庭風景も日本と同じだったのですね。彼がまた、子供の教育に熱心だったことにも、私は驚きました。どうりで本を読んでいたり、ノートに何か書いていたり、本を片手に持った子供達の絵も多かったわけです。スイス人って、努力家で教育熱心な真面目な国民なんだ、と知った次第です。

投稿: Cojico | 2008年2月11日 (月) 21時36分

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