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2007年12月 4日 (火)

感激「大聖堂」by ケン・フォレット THE PILLARS OF THE EARTH by Ken Follett

入院中に読んだ本の中で最高だったのが、ケン・フォレットの「大聖堂」でした。

上、中、下の3巻にわたる長編で、しかも一冊が平均600ページという分厚い本ばかりだけど、息もつかせぬ変化の富んだ展開で、夢中で読んでしまいました。

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舞台はイギリス、1135年から1175年にかけて、ヘンリー王の死後の王位継承問題をからめて、ある町の修道院院長と建築職人の美しい大聖堂を建設したいという純粋な夢と、それを取り巻く当時の厳しい環境を、飽くなき欲望を追求する司教や横暴な貴族達の陰謀などと組み合わせ、中世社会を鮮やかに蘇らせた見事な物語。

貴族と自由人、小作人の関係、司教とその教区内にある修道院長の関係、町のあり方、カンタベリー大聖堂の権力の強さ、そして当時の王の不安定さなどが豊かに再現されていて、まるで自分が中世の町を生きているかのような錯覚を覚えてしまった。

物語としての下巻は、様々な問題の解決場面が多く、涙、涙の連続でした。そのなかでも特に心憎い設定だったのが、ヨーロッパで建築技術を取得しながら放浪していたジャックの選んだ最後の場所が、なんと最新技術で建設途中のサン・ドニ大聖堂!

さらに、彼を追いかけて、生まれたばかりの赤ちゃんを抱え、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステラ、さらにはトレドまで追いかけ、うわさを頼りにパリ方面へ戻ったアリエナが、その新しい構造技術に感激しているジャックと再会した場所が、このサン・ドニ大聖堂!!!

もう、ひどい、ひどい!こんな心憎い設定があるでしょうか!なんという感動的な場面!

Denis_interieur1 そこでジャックは、当時ヨーロッパでも最も美しいとうわさの高かった最新の技術を身に付け、アリエナと共に、フィリップ修道院長を助け、建設途中で崩れた大聖堂を再建するべく故郷へと帰っていくのです。なんとかっこいい設定!

当時のサン・ドニの修道院長シュジェールは、教会に興味を持っている人の中で、知らない人はいないと思われるくらい有名な人物。また、彼が新しい思想の元に指導力を発揮して作り上げたサン・ドニ大聖堂は、ロマネスクからゴシックへと移行した最初の教会として特に有名。

本にも書かれていたけれど、ロマネスクの身廊は、半円形が基本。ところが、このサン・ドニ大聖堂内部を見ていただくと分かるように、優雅な尖頭アーチが繋がっていて、天井の交叉リブ・ヴォールトを使うことに寄って強靭になった壁を利用して、教会全体を高く高くでき、しかも大きな窓をつけることができたのです。

シェジェールは、そこに初めてと考えられるステンドグラスを入れました。降り注ぐ陽差しが、色ガラスをとおして、幻想的な光へと変わり、教会内部を覆います。ジャックの驚きは大変なものだったでしょう。

教会の構造も具体的に書かれていて興味深かったけれど、とにかく、教会建設に必要な、石の調達、財政面の苦労なと、今まで考えたことも無かった生々しい問題が現実には存在したのだと納得しました。

それにしても、とにかく、おもしろかったです・・・

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コメント

Cojicoさん、遅ればせになりましたが、ご退院おめでとうございました!お帰りをお待ちしておりましたよ~!!

で、さっそくの話題に「大聖堂」が出ていたので、懐かしいやら、サン・ドニの実物写真まで拝見できるやら、さすがCojicoさんだわ~♪と、嬉しく拝読させていただきました。

実は私もかなり前(文庫本が出た年)、知人に薦められ「大聖堂」を読みました。西洋古典絵画は好きでも教会建築はあまり興味がなかった頃で、小説も中世の生活の匂いがする物語として面白く読んだのです。ヴォールトとか石組みとか出てきても、肝心の聖堂建築のイメージが上手く掴めず...なにしろ、サン・ドニ大聖堂も知らなかったのですから(^^;;;
Cojicoさんのブログを拝読しながら、教会建築の知識があれば(実際に行って観られたら!)もっと面白く読めただろうに...と今更ながら自分の無知ぶりが悔やまれてしまいました。Cojicoさんのブログでしっかり勉強し、そのうちきっと「大聖堂」の再読に挑戦しますね(^_-)-☆

投稿: 花耀亭 | 2007年12月13日 (木) 01時23分

花耀亭さん、
どうもありがとうございます。やっと病院から開放されて、自分の机の前が一番居心地いいなあ、とほっとしているところです。

花耀亭さんはかなり前に読まれたのですね。感激されたでしょうね。私も前から良い本だとは聞いていたのですが、厚い本と知り、なかなか手が出ず、ようやく読む気になりました。
中世の生活を知りたい時は、説明本よりこういう小説の方が、ありありと目に見えて分かりますね。

実は私、サン・ドニの教会が大好きなので、さらに感動が大きかったのかもしれません。次の教会の解説もサン・ドニと決めました。が、現地で買ってきた本をザーッと読んで訳そう、という意欲はあるのに、他に気を取られてなかなか進みません。
もう少し待ってくださいね。きっと書きますので・・・

投稿: Cojico | 2007年12月13日 (木) 15時14分

遅くなりましたが、退院本当におめでとうございます!

私事で恐縮ですが、年末から家族でパリに滞在します。
元旦は市内がほとんどクローズするので、シャルトル大聖堂
のミサでも見学できればと思っております。

来年からどんどん旅行に行って紀行文をアップして下さい。


投稿: san shiro | 2007年12月16日 (日) 11時26分

shiroさん

メッセージをありがとうございます。
年末のパリは、シャンゼリーゼ通りのイルミネーションだけでなく、街のショーウィンドーもほんとに綺麗で楽しいですよね。上手に街全体のイメージを作り上げるものだと感心します。きっと、奥様もお子様も大喜びでしょう。

おお!シャルトルですか!いいですねえ!きっと大勢の方が詰め掛けているでしょうね。あのラビリンスにも、膝をつけてゆっくりと廻っている人がズラーっといることでしょう。

ご存知だとは思いますが、パリの冬は底冷えのする寒さですので、どうぞあったかくして行ってくださいね。Bon voyage!

さて私も来年は、shiroさんのお言葉どおり、またヨーロッパへ足を運ぼうと思っております。今はまだ、地図を見てため息をついている状態ですが、自分の体力に自信がついたら、行動開始です。
いままで訪れた事のある所でも忘れてしまっているので、もう一度廻ってみようと思っています。ほんと楽しみです。

投稿: Cojico | 2007年12月16日 (日) 16時35分

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