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2006年10月20日 (金)

フランスの絵巻物!バイユーのタペストリー La tapisserie de Bayeux

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「伴大納言絵巻」を見た後、ふと思い出したのがこの有名なフランスにあるバイユーのタペストリー。

正確に言うと、縦糸と横糸で織り込む”タペストリー”ではなく、これは全部亜麻の布地にカラフルな毛糸で施された刺繍。高さ50センチ、長さは70メートルにも渡って、ノルマンディー公ギョーム(後に”征服王ウィリア”と呼ばれる)によるイングランド制服の物語が、登場人物1500人、馬、動物、船、城、戦争などが鮮やかに描かれている。

Bayeuxmap_1このバイユーは、この地図の通りパリから北西250キロ、車でジャンヌ・ダルクの火あぶりされた街ルーアンまでの距離の倍程走った所にある。

作成は、1066年10月14日、ヘイスティングの戦いで勝った直後からで、10年後に完成された。「伴大納言の絵巻」より100年早いことになる。作成者は、ノルマンディー公妃(イングランド王妃)マチルドとその側女と言われ、この作品は、マチルド王妃のタペストリー(Tapisserie de la Reine Mathilde)とも呼ばれている。

物語は、イングランドの王エドワードの王位継承に伴う事件である。

高齢のエドワード王は子供がいなかったため、ノルマンディー公ウィリアムを彼の継承者と決め、寵臣のハロルド(王の后の兄)に、その意図をウィリアムに伝えるように命令するところから始まる。

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中央がエドワード王(屋根の上に ”EDWARD REX”と文字が刺繍されている)で、右がノルマンディーへ出向くハロルド(”UBI: hAROLD DUX:”の文字)。馬に乗っているハロルドの背中側がくりぬかれ、別の布が継ぎ足されているのが見える。

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”UBI hAROLD SACRAMENTIUM FECIT WILLEL DUCI”(ここで、ハロルドがウイリアム公に誓いを立てる)

ハロルドがウイリアム公に会うまでに、荒れた海峡を渡った為いろいろ思いも寄らぬ事件が起こり、23の場面が描かれる。やっと会え、ハロルドは2つの聖遺物の箱の前で、「ウイリアムを正当な後継者と認め、政治面でも物質面でも支援すること」を誓ったのだった。(ところが、ハロルドが後でこの誓いを破ったことで事件が起こる。)

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”hIC PORTATUR CORPUS EADWARDI REGIS AD ECCLESIAM S(AN)C(T)I PETRI AP(OSTO)LI”(ここで、エドワード王の遺体はセント・ピーター教会に運ばれる)

上図の左3分の2はお葬式の場面、右がエドワード王臨終の場面である。言い忘れていたが、日本の絵巻の場合は右から左に向かって描かれているが、ヨーロッパの場合は普通、左から右に向かって描かれる。

だからこの場面は、前後が入れ替わっていることになる。教会の場面の刺繍をしている時に、はやり臨終の場面を入れておこうと、後で付け足したのかもしれない。

なんとこの後、この臨終に際したハロルドが、自分を後継者に指名したと主張し、彼が王に即位してしまうのだ。

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これに怒ったウイリアムは急いで船を建造させ、合計約3000隻、馬も引きつれ、5万の騎士と兵士といういう大軍隊でイングランドに攻め入る。

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そして戦いは始まった。左がウイリアム軍、右がハロルド軍。当時イングランド人は、戦闘にめったに馬を使わなかったのだそうだ。下のほうには、倒れた人がたくさんいる。物語は、イングランド軍が逃走している場面で終わっている。

歴史的には、1066年1月5日エドワード王死去。1月6日ハロルド戴冠。9月ウイリアム軍集結。10月14日へースティングの戦いでハロルドが死亡。10月21日ドーバーの降伏、10月29日カンタベリーの降伏。12月25日ウエストーミンスターでウイリアム戴冠、と続く。

なんと手の込んだ刺繍!王の服の襞、馬の鬣まで丁寧に色を変えて縫っている。

Tapisall_1  実際は、次のような暗い部屋に展示されている。これを見るために先ず訪問者がすることは、パネル形式になっているこの場面の写真と説明を読まなければならない。

私はこのとき予備知識が全然無かったので、先ずこの長さに驚き、またせっせとこの蛇のようにうねうねと置かれたパネルを読もう(英語とフランス語)としたが、最初から様々な事件が起こり、話がごちゃごちゃになって長く続かず疲れてしまった。この街のサイトを読むと、今ではなんと11言語のオーディオガイドがあるのだそうだ。

また、このタペストリーを全部ご覧になりたい方、物語も詳しく知りたい方は、なんとこの70メートルもの作品を複製されたグループのサイトをご覧になればよいと思う。

Bayeuxphoto_3 なお、街はこのような感じ。4月1日だったが、とても寒く、空はノルマンディらしくはっきりしない。北フランスの春はなかなか来てくれない。

   

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