« 文化の秋 L'autome pour la culture | トップページ | 9月に書いたこと ce que J'ai écrit en septembre »

2006年9月23日 (土)

「フランスで最も感嘆すべき廃墟」ジュミエージュ大修道院 Abbaye de JUMIÈGES : une des plus admirable ruines qui soient en France

Facade このタイトルは、フランスで著名な考古学者ロベール・ド・ラステリー(Robert de Lasteyrie)の言葉(ミシュランより)。私もフランスの主だった修道院は訪れたのですが、このジュミエージュ大修道院は、その中でも特に印象深い廃墟でした。

日本のガイドブックには載っていない本もあるかも知れませんが、これはアクセスが非常に難しい為で、ミシュランの基準では”ぜひ訪ねたい所”としての三星になっています。

場所はルーアンより少しル・アーヴル寄り。パリから北西に車で2時間半ぐらいでして、残念ながら、交通手段として車以外はちょっと難しいかな。ここはセーヌ河が大きく蛇行している場所で、高速を降りてから、なんと小さなフェリーに車を乗せて、セーヌ河を横断しなければならないのです。20分置き位だったのでしょうか?寒い中、小さな船着場で結構待っていた覚えがあります。

(後でサイトを探したら、写真を見つけました。こちらを読むと”フェリー”ではなくて、”渡し舟(bac)”という言葉が使われています。こんなに色鮮やかではなかったけれど、船の高さは確かに低かったです。この”渡し舟”は7世紀からあり、1790年まで修道院所有だったとか。さらに、この船には、馬の為に滑り止めの敷物が施されているそうです。そんなとこ、見てなかった・・・)

訪れたのは4月上旬、雨の多いノルマンディーの空はまだ灰色。肌寒く、木の葉もまだ出ていません。でも芝生は緑。

入り口に入ったとたん、その大きさに驚きワアーという感嘆の声!灰色の壊れそうな大きな物体がこちらに覆いかぶさってくる感じ。と同時になんとなく不気味な感じが・・・塔の上に沢山のカラスがぐるぐる飛び回っているのです。全く廃墟!初めてローマのフォーロ・ロマーノを見たとき、その広さに驚きましたが、こちらは高さにびっくり。

1678nen ミシュランの本によると、なんと654年という古い時代に設立され、50年後には700人の修道士を含む1500人もの人々が暮らしていたのだそうです。841年、ノルマン人の侵略により一旦廃墟になるものの、また1020年から再建が始まり、1678年の版画では、このような大修道院だったようです。

当時は「労働の欠如は精神の敵」と考えられていて、”祈りと労働”の自給自足の世界。多くの修道士達が励んでいたことでしょう。

ところが、宗教戦争で壊滅状態になり、さらに修道院長不在時代に荒れ果て、フランス革命で崩壊。その後が悲惨。1793年、修道院全体が競売にかけられ、買収人の一人がここを石切り場にしようと教会内部と頂塔を爆破したのだそうです。1852年、新しい所有者が破壊を食い止めたのですが、その時にはもう元には戻せないほど破壊されていたのです。その後、1947年に国の財産となっています。

Photo2_1    Photo1

この敷地に建てられていたはずの修道師たちの生活の場であった建物は、すべて失われており、屋根のない2つの教会(ノートルダムとサン・ピエール)のファサード(正面)と壁、地面の仕切りだけが残っているのです。でもこれらは、ロルマンディーの古いロマネスク建築様式を残す重要な建築物なのだそうです。屋根も木製だったとか。

私達は、ただ住人のいない、荒れ果てた廃墟を歩くだけ。聖なる場所がこんなになるなんて・・・フランス革命はすべての価値観をひっくり返してしまいました。平民が目覚めたことによる略奪と破壊の日々。これによってなんと多くの美術品や芸術が失われたのでしょうか・・・。

ただ私のように素人が見ても面白い事は、ロマネスク様式とゴシック様式が混在していること。上の左の写真で、立っている人の後方の壁で、上部が細長く先が尖っている窓はゴシック、下段にある出入り口と、少し右上にある小さな窓のカーブは丸く、これはロマネスクです。

Back_1 右の写真は、サン・ピエール教会の西側です。素敵でしょう?この右下の窓に注目してください。細長い先の尖った窓の上部には、ロマネスク様式の円形カーブが付いています。どういうコンセプトで作られたのか興味がありますが、とにかく破壊が激しい為に、不明な点の解明は難しいのだそうです

廃墟というのは、何故だか訳もなく歩いているだけで心楽しくなっているのは、私だけではないでしょう。想像力に任せて過去を思いやったりして・・・映画「薔薇の名前」のいろんな場面が思い出されます。

フランス語でジュミエージュ大修道院について書かれているサイトはこれがいいです。写真を見ているだけで、雰囲気は伝わってきます。

|
|

« 文化の秋 L'autome pour la culture | トップページ | 9月に書いたこと ce que J'ai écrit en septembre »

フランス France」カテゴリの記事

フランスの教会 Les eglises de la France」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/204923/13995930

この記事へのトラックバック一覧です: 「フランスで最も感嘆すべき廃墟」ジュミエージュ大修道院 Abbaye de JUMIÈGES : une des plus admirable ruines qui soient en France:

« 文化の秋 L'autome pour la culture | トップページ | 9月に書いたこと ce que J'ai écrit en septembre »